ドールンを歩く (Utrechtse Heuvelrug - Huis Doorn)
今日の予定は、DOORNである。
ユトレヒトからアーネムへ向かう途中にはたくさんの森が広がり、豊かな風景が多いのだが、
今回はドールンという村で、ハイキング&お城見物を楽しもうと思っていたのだった。
ユトレヒトの駅まで向かい、朝食を購入。ホームで電車を待ちながらコーヒーを飲む。
電車は快速で一駅のDriebergen-Zeist。あっという間に到着である。駅を降りると、ユトレヒト
からそんなに離れていないはずなのに、かなり郊外にきたような、、、そんな錯覚を起こさせる
静けさである。バス停に向かうと、ほどなくバスがやってきた。Doornまでは約20分の道のり。
大きなお屋敷が続き、ほんと、いったいどんな人が住むのかしらー?と思いつつ、車窓を楽しむ。
このDOORNは、ドイツの最後の皇帝、ウィルヘルムII世が住んだHuis・Doornがあることで
有名である。第一次世界大戦後、ドイツは共和国の道を歩むことになった(と思うのだが・・・)
ため、皇帝制度が廃止された。その頃、ロシアではロシア革命によってニコライ皇帝
を始めとした王族が殺され、その影響を恐れたウィルヘルムII世は国を脱出することを決心
する。当時、57台もの貨車を連れ、オランダに脱出したというウィルヘルムII世。
話を聞くと豪華な気がするのだが、元々は皇帝。それが地位を追われて逃げるようにして、
国を去るのだから、時代の変化は時にとても残酷である。
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Huis・Doornはこんなお城。
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DOORNは、このHuis・Doorn以外にも、
大きな森が広がる地域で、たくさんのバケーション客が訪れるところでもあります。
この一面の森は、Utrechtse Heuvelrugと呼ばれる大きな森です。その一部、
Kaapse Bossenルートをぶらぶら散歩(ワンダレン)することにしました。
森の中は、まだまだ冬の景色で、緑というよりも茶色が主色です。しかし、そのお陰で(?)、
ワンダレンルートは、静かで人とすれ違うこともそうめったにありません。美しい森は、
綺麗に手入れされ、きちんと計画的に伐採されているようです。こういう美しい森を見ると、
私の心はいつも日本のあの荒れた山を思い出してしまいます。手入れをすればこんなに美しい
ところなのに、ヘンな杉なんか植えて真っ暗にしちゃって・・・。政府も経済のためになることは
ホイホイするのに環境については腰が重いというか・・・。無用な道路なんか作らないで、
こういう伐採作業にもうちょっと力を入れるべきだと思うんだがなあ・・・。あー、
話が暗くなってきました。ゴーバックゥ!
木々はまだまだ冬の様相ですが、鳥のさえずりは賑やかで、とろけるような美しい声が、
あちこちから聞こえてきます。枯葉を踏みしめながら歩く足取りも自然と軽やかに・・・♪
しばらく歩くと、一面が開け、砂場にでました。デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園にも
こういった砂場はあるのだが、これは氷河時代からの名残。所々にはヒースが生えていて
夏には紫色の花が咲くのだそう。その先には、テラスとベランダがついたカフェが
あった。どうやらワンちゃんに優しいカフェのようで、ベランダにはワンちゃん用の水が
用意されている。カフェの中にも何匹かのワンちゃんが、ご主人様(お客)の足元で
のんびりくつろいでいる。上品なマダムが切り盛りしていて、なかなかいい感じ。
コーヒーを一杯いただこう!と、中に入り、結局、コーヒーとブルーベリーのパイを
堪能したのでした。オランダが豊かだなあ、と思うのは、どこにいっても素敵なカフェが
あること。ま、どこにも美味しいしゃれたレストランがあるフランスの足元には及ばないのかも
しれないけれど。
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夏はさぞかし絵になる
カフェになるであろう
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この森にはこれまたデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園と同じく、氷河時代からの地層の名残で
少し坂道があるのですが、小さな男の子が興奮気味に自転車で坂道を下っていました。
「nog keer doen(もう一回やるよ)!」といいながら、一生懸命自転車をもう一度坂の上まで
運んでいます。おいおい、そんなにすごい坂か?(←実際、日本なら坂とは呼べない斜度。)
やっぱりオランダ人だなあー。単純だ。しかし、この少年にとっては生まれて初めての「坂」
なのかもしれない、とほほえましく思った。
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