オランダ在住が決まったら その1
日本で準備できること
「オランダへの転勤が決まった」…まず何をすればいいのか。「うれしい」「あまりうれしくない」…人によって海外赴任に対する イメージは多少なりとも異なると思いますが、それでもたぶん全員が全員「どうなるんだろう?」という思いに駆られることでしょう。
会社によっては、すでにオランダ在住を経験されている方がいて比較的情報が入りやすい方もいれば、全然参考にする人がいない、 という方もいらっしゃると思います。同じ「オランダ赴任」であっても、状況はひとりひとりによって違うはずです。 そこで、ここでは、オランダに10年以上も住み、たくさんのオランダ在住者を迎え、そしてお別れしてきた筆者が オランダの最新情報=2017年-2018年の事情を中心に、お薦めしたいこと、気をつけたいことなどをお伝えします。
まずはじめに。現在は、たくさんの方がネットを使って情報を集める時代となっています。 本当に便利な世の中になりました。ただ、情報が古いとまったく事情が異なっていたりします。 オランダ事情はそれほど変わっていなくても、その時にいらした在住者が全員日本に本帰国され、 新しい方に 変わるとがらっと在住者事情が変わってしまうことがあります。(たとえば、ほんの数か月前までこの地域にたくさんの日本人が住んでいたのに、 気がつけばひとりになっていた、とか…この移りざまは、時として残酷なくらい変化が大き過ぎる…と思えるくらいのこともあるんです。)
こちらのサイトも、これを書いている時点で事情はすでにまた次に移り変わっている、と思ってください (気がついた折に更新していくつもりではいますが)。ですので、どのネット情報もあくまでも「参考程度」に留めるのが賢明と言えます。
英語習得が楽しく滞在できる第一歩
もし、実際の赴任までに時間があるのであれば、できるだけ英語を取得する 努力をされることをお薦めします。 実際に働くご主人様はもちろん、家族もできる限り努力されるほうがいいです。
私が英語を薦めるワケ
今まで出会ったオランダ在住者さんで英語が出来る方(海外経験がある方) には「ある傾向」があるような気がしてなりません。
素敵な家に住んでいることが多い?!
来た当初からすでにベテランのように色々知っている
あっという間に活動範囲を広げて忙しい
充実した駐在生活を終えて帰国
何故このようなことが起きるのでしょうか。それは…情報収集力が豊富であることが挙げられます。彼らは日本語という限られた媒体だけでなく、 英語でも色んな情報を収集しています。英語で情報が拾えるようになると、次のステップ…オランダ語も単語を変換するだけでいいので、 早い時期から、難なくオランダ語検索をされる方もいらっしゃいます。
つまり…日本語しか出来ない人が、スタート時点でもたもたしているうちに、 彼らは早くもスタートダッシュをつけて走り始めているような状態なのです。なお、素敵な家に住んでいることが多い?!…と書きましたが、 これはたまたまかもしれませんが、いい家だなあ、こんな家に住みたいなあ…と思う家に住んでいる方はみなさん英語ができました。英語が出来る方は、 物件選択の選択肢が広がるのかもしれませんし、やっぱりたまたまなのかもしれません。家探しについては、次のページで詳しく書いていますので ご参考ください。
行ってから習得…では遅い
よく海外に留学・移住する人が「アメリカ(や英国)に行ってから英語を勉強する」などと言いますが、実は…行ったら必然的にできるようになるはず、というのは大間違いなのです。 英語を習得するためには、どこに住もうと結局は同じだけの努力をしなければならないのです。
私自身の経験話ですが、私も一年間だけアメリカにビジネス留学しました。すでに英語の勉強を日本で終えてからアメリカに渡ったので、 学期が始まってから瞬く間に英語力(話す力も書く力も)が伸びました。たった一年でしたが、自分でも驚くほどの効果があったのです。
一方、当時出会った方の中には、一年たってもまだ英語学校から抜け出せない、という方もいました。彼女は「アメリカだったら遊んでいてもすぐに習得できる」と 思っていたようなのですが…それは間違いだったのです。ですので、私のモットーは「英語学習は日本でできる」です。
必要な英語力とは?
英語、英語、といいますが、それでは英語の何が大切でしょう。今の時代、働く人にとって大事なことは、話す力・聞く力よりも、書く力・読む力です。 メールの量が半端でない場合、読み書きに時間がかかっていては労働時間がいくらあっても足りません。ccメールにはとても目が回らない…という話も 聞きますが、やはりこれでは仕事に支障が出てしまいます…。駐在員の奥様も、英語の読み書きがスムーズにできると最初から良いスタートを切れることになり、 活動範囲が広がります。
また、お子様も、将来幼稚園などで英語を使う機会があるならば、前もってお子様に英語学習をさせておくと大変有効です。 こちらに来る前に、日本で英語の保育園に数カ月間入れた方で、こちらに来てから即ネイティブなみの英語力を発揮したお子さんも知っています。 ただし、子供の語学力は個人の語学対応能力・個性などによるところが多いので誰でもというわけではありません。
語学力=快適な海外生活、と思って、家族皆さんでできるかぎり頑張ってから来てください。 有意義な赴任生活でさらに自分を高めることができるかどうかは、事前の準備しだいです。
お薦め英語勉強法
実際に、どんな勉強をしたらいいか。自分の勉強法がまだ確立できていない方に…私が実践した方法をお知らせします。これは日本に住んでいた頃は、 誰にも教えたくなかった秘伝の(?)我が英語習得法です(笑)。…昔は英語を武器に生きてきたので素直に教えるわけにはいきませんでしたが、今は 英語を武器に他人に打ち勝って働く…という年齢でもなくなったので、こちらを読んで下さった方に特別にお伝えします。 絶対英語力が伸びますよ、保証します!!(しかも…お金も…英語学校に通うより断然安い!)…ただし、最低6カ月要してしまいますが…。
英語のスピードに慣れるために
当時(90年代)私が実践したのは、テレビでやっていた海外ドラマを副音声にして見る、という方法です。まさに無料、タダの英語習得法。 なるべく自分の好きなドラマを選び(好きでないドラマは見ても興味が沸かないので、途中で眠ってしまったり…時間が無駄になることもしばしば)。 まず英語で見てから、もう一度日本語で見る(最初の慣れないうちは、日本語バージョンを最初に見て次に英語、でもよい)、と一シリーズ数回見ました。
今は90年代と比べると…驚異のインターネット時代。Youtubeなどでいくらでも英語情報は手に入ります。自分の興味のあるものを見つけて、練習教材にしてみてください。 ちなみに私があの当時お世話になったのは、「高校生白書」「アリーマックビール」「フルハウス(30分のコメディ)」などです。映画は長いし、 難しいこともあるので、なるべく毎回オチが決まっているような短いシリーズのほうを私はお薦めします。
英語力そのものを伸ばす
英語力を伸ばすために、いろいろ苦労がありました。あれこれ挑戦しました。お世話になったのがあの有名な
アルク
さん。
もう私は
アルクにどれだけお金を
つぎ込んだことでしょう…(苦笑)。でも、最終的に英語力が飛躍したのが、このアルクの通信講座
だったのです。何のシリーズ?あー、あの有名な
「1000時間ヒアリングマラソン」で自分史上最高の英語力をつける!
ですか~?!
…って、違います。これもやりましたが、これはダメです。基本的な英語力は伸びません(汗)。アルクの影の最高傑作…それはこちら↓↓。
ボキャビル(R)マラソン・パワーアップコース
これを受講する前は600点台だったTOEICスコアですが、これを受講した後、800点に一気に上がりました(最終的には870点)。3000語の語彙を覚える、というものですが、 この語彙集がすごい!実際に英語を使うようになって、どれも必要な語彙なのに何故か今まで知らなかった(受験英語に出てこなかった)ものばかりだということに 気がついたのです。これらの単語を知っていれば、文章がすらすら書けるようになります。すらすら読めるようになります。もちろん多少の努力は必要ですが…。 何かコースをやる、英会話学校に通うか悩んでいる、というのであれば、絶対にこれがお薦め。
このコースを進めることにした方は…ともかく知らない単語ばかりなので6か月間毎日新しい単語を覚えるのは大変です。覚えても忘れる…これを何度も繰り返してやっとモノになっていきます。この半年間は かなり本気で勉強しなければいけない、と心して取り掛かってください。でも、6か月後には見違える英語力がついているのを実感できます。
私は主人についていくだけだから…という駐在員の奥様は話す力と語彙力を伸ばす
キクタン 英会話
があります。
海外生活に使える内容に特化されているので…まさに駐在員の奥様向けです。なお、住む場所(アムステルダム近郊)によっては、生活していく上で、英語をほとんど要さない
ところもあります。こういうところに住むと、英語ができる人はどんどん外へ目を向け、そうでない人は誰かに頼りながら生きて行くことになります。
もちろん…それもひとつの手なのですが…もしせっかくのチャンスなのだから、これを将来に生かしたい!!と思われるのであれば、是非頑張ってみてください。
ちなみに…子供に頑張って英語をやらせたいと思っているお母さんは是非ご自身も頑張ってください。お母さんが勉強を頑張っている姿は、 小さな子供に大きな影響を与え、「私も一緒に頑張ろう」というやる気につながります。子供は思った以上にお母さんのことを見ていますよ。
ともかく…語学力=語彙力と思ってもいいくらい、語彙力は大事ですので、何か勉強する…ということになったら、語彙力を磨いてください。すぐに効果が現れます。
奇麗な発音で英語を話すこと…はあまり重要ではない
ヨーロッパに長い間住んでいますが、住めば住むほど少なくともオランダでは「英語をネイティブのようにきれいな発音で話す」ということは重要ではないな、と感じます。 日本では英会話学校が盛んですが、ここだけの話…お値段のかさむ英会話学校は…お金のムダです!何故そんなことを言うのか?というと、 オランダに住むオランダ人・外国人の英語の発音は、皆が皆、きれいという訳ではない、でも、ちゃんとお互いに意思疎通ができれば問題ない。そういう世界だからです。 イタリア人やスペイン人の英語は本当に特徴があります。ロシア人の英語も。中東から来た人もまたそれぞれ独特です。もちろんアジア人も。でも、みんなちゃんと英語で話してますよ。 日本人が日本人らしい発音で英語を話しても何にもおかしいことはありません。大切なのは、聞こえる声できちんと話す、相手に通じるように話す。それが大切なのです。
最後に子供の英語について少し
子供・赤ちゃんがいる方。赤ちゃんが0-2歳児であれば、日本で特に準備する必要はありません。こちらで赤ちゃんをデイケアなどに預けただけですぐに英語(もしくはオランダ語)を習得していきます。 むしろ、こちらに来てから日本語をしっかり押さえないと、日本語が出てこない…という可能性さえあります。
子供が2、3歳児でそろそろ言葉が出てきましたよ、という時に 渡航となる子供で、英語の幼稚園に入れようと思われている方は、英語になじむ機会を設けたほうがいいと思います。これもお金をかける必要はありません。 子供と一緒に英語で映画を見たり、 子供番組を見るだけでも違います。うちの子は、他のヨーロッパ諸国に行ってもテレビにかじりついていたので(…汗)、 ドイツに行くとそれらしいドイツ語、フランスに行くとそれらしい フランス語が出ます(真似しているだけなので、本当しゃべれるわけではありません)。
ちなみに。うちはオランダの学校に入れるつもりなんだけど…という方。オランダ語と英語は同じ西ゲルマン語群に属するいわば親類関係のような間柄です。 オランダ人の英語力が非常に優れているのは何もオランダ人の能力が高い、というワケではないのです。親類関係だからこそ、習得しやすいというメリットがあるわけです。
ひとつひとつの単語を見ていくと、ほとんど同じものもあれば、まったく違うものもあります。日本人の目から見ると、二度手間のような気がする…と思ってしまいますが、 聴きとる耳は同じ。彼らは英国マンチェスター訛りの英語であろうと、コックニー英語であろうと、ドイツ語であろうと、デンマーク語であろうと… きちんと聞き分ける耳を持っています(全部理解できるかどうかは語彙力によるので話は別 - 要するにこの辺りの話となると、すべてが語彙力次第となる)。 話が長くなりましたが、そういうワケなので、事前の英語習得も決して無駄になるワケではありません。
ただし。 語学力というのは本人の才能うんぬん以前に本人の性格が大いに関係しています。海外の環境に慣れない子供はたくさんいます。 たとえば子供は外見で判断することも多く、背の高い金髪の人が何かしゃべりかけただけで泣いてしまう・怖がってしまう子供も見受けられます。 尻込みしている子に「滅多にない良い機会なのだから頑張ろうよ!」「頑張ればできるよ!」と無理やりプッシュするのはやめましょう。
赴任時期の年齢層にもよりますが精神的に不安定になってしまい、それが日本帰国後・後々まで問題となる子もいます。一歩間違えればあなたも毒親?!…とは言いませんが、 遠き海外に住むというのは、子供にとっては想像できない未知の世界なのです。精神が安定していない年齢の子に度を越えたストレスを与えるのは大変危険です。 不安が大きく混乱するようであれば、何事も無理する必要はないと思います。お友達と別れて海外に住んでいる!それだけでうちの子は特別頑張っているんだ! そんな気持ちで暖かく見守ることが大切です。