英国 - スコットランド旅行(2004年7月)

Scotland Iona & Staffa - DAY 4

ツアー2日目はオバーンからの島巡り。15年経った今でも忘れられない秘境と絶景が私を待っていました。



ツアー2日目。今日はやたらに早い一日のスタートです。 なんと朝7時にバスが迎えに来る、というので朝は6時半に簡単な朝食。 起床は6時でした。昨日は、疲れていたのか、ベッドに横たわったまま そのまま熟睡。夜中に寒くなって目が覚めると、顔は洗ってないわ、歯は 磨いてないわ、服はそのまんまだわ…と散々なのでした。

バスは予定通り迎えに来て、その後、みんなをピックアップした後、フェリー乗り場 へ向かいます。今日の予定はまずはマル(Mull)島に渡り、アイオナ(Iona)島、スタッファ(Staffa)島に行く、 という予定でした。しかし、勉強不足の私にとって、そこがどんなところか? 行くまではまったく想像できませんでした。今日の天気は、今のところ 快晴。天気が悪いと有名なスコットランドにしては…珍しいかも~?!こんな辺鄙な場所でこれだけ良い天気。すっごくついているのかも。 とはいっても、天気は寸時に変わる、というので要注意なんですけどね。


スコットランドの島々を結ぶCaledonian MacBrayneフェリー

7時45分にObanを出発。約40分でフェリーはマル島に到着しました。 けっこう大きいフェリーで、中にはちょっとしたお土産屋さんなんかも あり、中を散策したり、景色を眺めているうちにあっという間に到着。

マル島はDuart Castleなどいくつか見どころもあるようなのですが、今日はそのまま 素通り…。結構大きな島なので、このツアーで全部見て周るのは無理らしいです。。。残念。 あでやかな色をした家々が並ぶ町トバモーリ(Tobermory)はちょっと興味がありましたが、 行く方向が全然違うので、諦めるしかなさそうです…。

私たちのバスは、南西の先端にあるフィオンフォート(Fionnphort)というところに向かいました。 途中はだだっぴろーい草原(というのが正しいのでしょうか?)が広がるばかりの島。人口も2,600人 くらいだそうですが、いったいどこにいるんでしょうか…?というくらい何もありません!! 途中、町というか村を2箇所通り抜けた以外は、まったくなんにもない緑、緑、緑の土地が通り過ぎていきました。


本当に何もないマル島

フィオンフォートに着く直前になってツアーのドライバー・アレックが急に、スタッファ島はオプションだけど いくかどうか?と聞き出しました。そ、そんな急に言われたって…(汗)。 最初はほとんど希望者がいなかったのですが、せっかく遠路はるばるこんなところまで来たのだから…と私たちは 行くことにしました。そこがどんなところなのかいまさら考えても仕方ありません。 でも、次回もしここを訪れたとしても、その際天気がいいとも限らないし…行けるときに行っておけ!とはまさにこのこと。

結局私たちを含め、5人とアレックがスタッファ島に向かうことになりました。見るととても小さな船で、ゲゲゲ…、 揺れがひどかったらどうしよう…と最初はちょっと心配になりましたが、結局揺れはちょっとあったものの 全然平気でした。途中、ずーっと続く あれこれの島を眺めていると、突然「鯨が前方にいますよ!」との放送が。 ええー?鯨~?予想外の展開です。皆立ち上がって、言われた方向を見ると、 ぐぐぐぐーと、鯨が上がってきました。見えた、見えた~!なんか、かなり 感動!!アレック曰く、こんな近くで鯨が見えたのは初めて、ということでした。 たしかに肉眼でもかなり近くに見えたもんね。スタッファ島のツアーがいつの間にやらホエールウォッチングになってます!!!


STAFFAに行く小さなボートに乗って…鯨を眺める人々

他にもたくさんの種類の鳥がたくさん見えて、自然豊かな島々だなあ、なんて 思っているうちにスタッファ島が見えてまいりました。縦に6角形の石柱のような岩がそそり立つ なかなか風光明媚な島です…。同じような場所、確か北アイルランドにもありますよね~。確か最近は観光名所になっていたような??? さて、この島はかつてここを訪れた音楽家メンデルスゾーンが この風景から音楽が浮かんだんだとか。。。たしかに。音楽が奏でて聞こえそうな? そんな美しい…類を見ないなかなかユニークな風貌であります。


遠くに眺める黒い島…スタッファ島

写真で見ても分かるとおり、ここはとっても小さな無人島。悪天候だと、上陸も難しいほど海も荒れる そうですが、今日はまったくそんな心配はなし。天気もよく、波も風も 穏やかです。


フィンガル洞窟

ここでの見どころは2つ。その例のメンデルスゾーンが 感銘を受けたというフィンガル洞窟(Fingal's Cave)。もう一つがカラフルな嘴を持つ鳥パフィン(Puffin)です。 パフィンはカナダからロシアまで、北方地方に多く生息するそうですが、、 大自然紀行などのTV番組で見たことはあっても、実際に今まで見たことは ありませんでした。私は今までカナダも何度も行っているし、アラスカにも行っているんですけど…パフィンはなかなか 見られませんよ?もう…これは見るっきゃない!!見どころへの道は2つに分かれていて、 パフィンは右へ、洞窟は左へ進むらしいです。ツアーの時間の都合上、両方は無理らしいです…(汗)。さて、あなたはどちらを選びますか? 私?それは…答えは迷うことなくただひとつ。。右のルートに進みました!!


スタッファ島…自然と鳥の宝庫です


存在するのは緑の自然と青い海

10分ほど歩くと、そこは絶壁。すでに着いていた人たちが、崖のふちに 立って崖を見下ろすように覗き込んでいます。なんだ、なんだ、どこに パフィンがいるんだろう?と思っていると、船を運航している(服装が)スコットランド人らしい 風貌のおじさん、パフィンはこの崖に 穴を掘って暮らしているんだよ、と教えてくれました。なるほど、それで みなさま崖を見下ろしているのですね…。

でも、落ちそうでちょっと怖いんですーーー。最初は鳥を探すコツがつかめなくて、パフィンらしき ものが巣から飛び出す様子を探し出すことができませんでした。だんなさまなんて即座に 諦めたように後方に引っ込み、ぼーっと座ってるし…。

ムムム。諦めないぞ!!!しばらくあっちやこっちを見渡しているうちに なんと私が座っているすぐ下にパフィンが飛び降りるのが見えました!!声を出さないように そっと近づき、眺めてみました。いた、いました!!!


飛ぶ姿がこれまた可愛らしいパフィン

パフィンが目の前に見えて、私もだんなも、隣を陣取っていたファミリーも皆大喜び!! 見た?あのくちばし?かわいいねえ。愛嬌があるねえ。同じものを見た 観客は自然に連帯感があふれ、お互いに言葉を発しないながらも、ニコニコしながら目配せ し合いました。

慣れてくると見つけるのが簡単になり、周りのアチコチの巣で、出入りを繰り返す パフィンを思う存分眺めることができました。パフィンは、海に魚を取りに いくんだけど、そのカラフルなくちばしから溢れんばかり(いや、 実際溢れているのですが)魚をくわえて戻ってくるのです。その姿は ほんと愛嬌があって幸せな気分になります。


カラフルなくちばし…見えますか?

実は人間達は、このパフィンの天敵である海鳥を追い払ってくれるので、 パフィンは人間のことは全然恐れないんだそうです。こういう鳥って珍しいですよね…。 そうこう観察しているうちにあっという間に1時間過ぎてしまいました。 もうスタッファ島を去る時間です。なんだかよく分からず、来ることになった私たちですが、 結果は大満足。 来て良かったね、これを逃したら後悔してたね、とだんなと話しました。


あっという間に過ぎたスタッファ島での贅沢な時間

次の目的地はアイオナ島です。最初から唐突ですが、とにかく私はここが気に入ってしまいました。 普通観光地は一度来れば満足してしまうところが多いのですが、ここはもう一度、絶対ゆっくり再訪したい、 そう強く願いたくなる美しい島でした。

なんでも北の最果てにYH(ホステル)があるらしいのです。その話は私の旅心に火をつけた! なーんちゃって。でも、ほんと、ここで何も考えず、何もない世界で一週間くらい過ごせたら。。。 写真を見るたびに、そんなこと思います。「世界の果て」と呼ぶにふさわしいような、何もない場所。

いや、何もない、ってのはうそですね。ここは、小さな島ですが、人口は130人だそうですし。 日本の沖縄でいったら、宮古島にくっつく池間島、みたいな感じ?マル島からフェリーで5分。 まさに目と鼻の先、といった感じなのだから。何もないけど人の出入りが割と難しくない場所、というのが いいです。


美しい海が広がるアイオナ島

このアイオナ島は歴史から見ても、重要な島なのです。それはAD563年 キリスト教が初めてこの地(英国初)に伝来されたことによります。 563年、アイルランドからSt Columbaがここアイオナ島に到達し、この地にカトリック を初めて伝来、アイオナの修道院を建てたのがこの島の始まりとされています。


聖地 - アイオナ島の修道院

この修道院は、なんと、今は アイルランドのダブリン、トリニティー大学で重要に保管されているアイルランドの至宝 「the Book of Kells(ケルズの書)」が書き写されたとされている修道院 なんだそうですよ。アイルランドの至宝の一つとされるケルズの書を見た人は、 その美しさにさぞや驚くと思いますが、それが実はこんな田舎で書き記された!と知れば さらに驚くことは必至です。私の昔、トリニティ大学でケルズの書を見たことがあるのですが、 何故?何故?何故?のはてなマークでいっぱいになってしまいました。

そのような重要な歴史を刻みながら、その後、この島はバイキングに襲われ占領されたため、ケルズの書は、 アイルランドに持ちこまれたそうです。バイキングが去った後、再び修道士 たちはこの地に舞い戻ってまいりましたが、結局…イングランドの宗教改革のさなか、 荒れ果ててしまいました。ようやく近年の1990年代になってから重要史跡として、 教会に改修されることになり、その改修は今も続いています。


屋根や建物が崩れ落ちてしまっている現在の修道院

とにかく天気もよく、教会の前の芝生に座って、教会や海を眺めていると、 ああ、いいところだなあー、と心から思います。小さなポスト。小さなスーパーマーケット。なんだか すべてがこじんまり、のんびりしているのもいい。悪天候の時はどんな感じなのかしら。 ヒョーヒョーと風の音が響くさまも気になります。


歴史的教会で ボーっとする


一般の家もかわいらしい

後ろ髪をひかれる思いでアイオナ島を後にし、再びマル島を横断。フェリーに乗って再びオバーンに 戻ったのはすでに夕方6時頃でした。今日は、フェリーを降りたら そのまま解散で、私たちはフェリー乗り場の近くにあるシーフード レストランに行きました。

「The waterfront Fishouse Restaurant」

やっぱり海に来たらシーフードよねえ!と騒いだから、あまり魚が好きではない だんなもシブシブ応じたようです。さて、ここのレストラン は、まるで日本の港(伊勢志摩などの…)の大衆食堂のような建物で、 ロマンチックという言葉からは程遠いのですが、まさに取ったばかりのフレッシュな 魚が食べられる場所のようです。黒板には今日仕入れた魚メニューが書かれているし、 メニューのほとんどが魚である、というのも内地では見られない現象なのではないかと。

※現在はステキなレストランに改装されており、大衆食堂な雰囲気ではなくなっています。

多くの人は代表的なフィッシュ&チップスを頼んでいましたが、私たちは 別のものを頼むことに。魚の名前って、オランダ語もさっぱりだけど、 英語もさっぱり…で、ちょっと注文に迷いましたが、結局、私が選んだのは白魚のクリームソースだったけど、 たぶん鱸(すずき)だったんじゃないかな。

お隣の人は、Langoustine なるものを食べていたけど、えびにしては大きく(しかもハサミが かなり大きい)、イセエビにしては小さいものでした。なんだろ、と 家に帰ってから辞書で調べると、「ヨーロッパアサガ海老」という訳が。 アサガ。。。??? これがまた、ソースなどで綺麗にお皿に収まっているのではなく、 お皿に乗せられるだけ乗せた(12尾は軽く乗っていたような。。。) てな感じで、頼んだ本人もあんぐりと口を開けて驚いていたのが印象的でした。

私たちが頼んだ魚も新鮮で、ソースもそれなりに美味しく、英国= 料理のまずい国、という印象は結構薄れました。少なくとも、海辺のシーフード は日本と変わらず美味しいのであります。


今日のオバーンの夕ぐれ時の風景