英国 - スコットランド旅行(2004年7月)
Scotland Highland - DAY 3
今日から5日間のハイランドツアー出発。今日はエディンバラからオバーンまでの道のり。
さて。今日から5日間のハイランドツアーに参加です。 今回、私たちはラビーズというスコットランドでは長年にわたりツアーを行っているツアー会社のツアーに参加したのでした。
スコットランドハイランド地方へのツアー Rabbie's
朝9時には出発とのことで、8時半にはツアー会社の前に集合していなければならず、慌しくB&Bを後にし、集合場所に向かいました。
B&Bのすてきなお部屋での朝食も慌ただしく…
このツアーは 小さなバンで周るツアーなのですが、かなりメジャーな会社らしく、毎日運行されるツアーには各国の観光客が参加しているようでした。 私のツアーはおばあちゃんグループと団体グループ、というグループが大半を占めていて、アクティブハイキング! のようなものがほとんど出来なかったのが、ちょっと残念でしたけど、これはしょうがありません。
しかし、ツアーのいいところは、 初めて来た観光客にはなんだかよく分からない道、町、遺跡などに迷うことなく連れて行ってもらえる ことだと思います。今回のスコットランドは、ええ?ここを通るの?いったいどこ?というような道が延々と続いたので、ほんと、 ツアーでよかったと思います。まー現代はとても良いナビもありますけどね。でも、道が~~…!日本の田舎も似たり寄ったりの すごいところを通りましたので…。

ツアー1日目はエディンバラ - オバーン(OBAN)までの道のり。朝9時出発。天気は相変わらずイマイチなのがちょっと残念ですが、 予定通り西に向かって出発しました。西には空港があるので、途中までは空港への道です。空港を過ぎてから、 大きな高速道でツアーミニバスはグングンと速度を飛ばし、お城があることで有名なスターリング(Stirling)まではあっという間に到着しました。
周りの景色はローラン ド(Lowland)らしい風景で、オランダのようにまったくフラットではないものの、なだらかな丘がどこまでもどこまでも続いています。 このツアーはスターリング城は素通り。Stirling城をちょいと下から眺め、Loch Lomond(ロモンド湖)方面に向かいました。
Lochというのはゲール語で細長い入り江の湖という意味らしい。Lake(湖)とは根本的に意味が違うよ、スコットランドにはLakeは 1つあるよ、というようなことをガイドの兄ちゃん、アレックは言っていたように思います(がおぼろげな記憶です)。
その後、2車線の小さな道路になりました。しかし、このときはまだまだ2車線ならまだ良い方、ということには気づいていませんでした。 そう、スコットランドは一車線しかない道路も多数ある大いなる田舎だったのであります!!ロモンド湖沿いの町、 Drymen(ドライメン)にたどり着く頃には、雨と強い霧で、全然景色が見えません!!その美しい風景にヴィクトリア女王も感動したのだそうですが、 全然見えません。しかも、寒い!!天気だけはずっと祈り続けたのですが…やっぱり日頃の行いが悪いということなんでしょうか…?(涙)。 というわけで全然感動はなし。

ドライメン村は小さな村でしたが、ほとんどの家がB&Bの看板を掲げていたのには驚きました。B&Bはイギリス発祥だとは知っていましたが、 こんな全部のお家がB&Bになっちゃっていいんでしょうかー?
最初は私たちは、「わーここもB&B。わー、ここも!」なーんて半分冗談で笑っていましたが、今晩私たちが泊まる町、 人口8,000人の町、Obanには350軒のB&Bがあると聞いてオドロイタ…。350軒!!!桁外れ、ちがいます?
天気はここ、Drymenを境に回復し始め、再び景色が見えるようになってきました。このロモンド湖あたりから、ハイランド地方が始まり、 景色は一変します。湖、結構高い山々、曲がりくねる道路。日本の山岳地帯のような感じになるのです。
山がある風景…いいですねえ
景色はとっても美しいです。通り過ぎる村・家もとっても美しい!山と湖。やっぱ、いいですねー。オランダでは見慣れない風景だけに、 うれしさ倍増、といった感が…。Loch Long(ロング湖)を経てキャンベル・クラン(Campbell Clan)の地、インヴェラライ(Inveraray)に到着。 スコットランドでは悪名高きキャンベル(Campbell)。今でもキャンベルと いう家族名は多く存在するけれど、スコットランドではこの名前はあんまりいい印象を与えません。何故でしょう?
キャンベルの城
ちょっとスコットランドの歴史をたどってみます…。
スコットランドに行くと、必ず見るのがタータンチェック、とは最初のほうでも言いましたが、 このタータンチェックは何に由来しているかご存知ですか?そう。スコットランドのクラン(Clan)に由来しているのです。クランとは ハイランド地方の一族のこと。昔は、スコットランドやアイルランドに点在するGlen(峡谷)を各クランが支配していたのです。
このClanとかGlenとかLochはすべてこの地域から発生した単語なんで、最初はなんだー?って思っちゃうんですけど、 まぁその地方独特の言葉とでも思っていただければ。私も訪れたときはチンプンカンプンでしたよ…で、各クランは独自のタータンチェックの柄を持っていて、 要するに「家紋」のごとく使用されていた、というわけなんです。>
ちなみに。このクランの多くの名前が「Mac」から始まる名前なんですよ。マクドナルド、マクレーン、マクガイヤー。思い浮かべれば たくさんのマク○○さんは世の中にいるんですけど、スコットランドが由来、ということになるんでしょうね。ちなみのちなみに。 アイルランドは「o'」で始まる人が多いのです。オードネル、オニール、オコナー。。。こっちも思い浮かべると ぞくぞく名前が出てきますねー。名前の由来って面白い。
キャンベルの里Inveraray
さて。話を戻しまして、悪名高きキャンベルのお話。Campbellは「Mac」からは始まらないんですが、これも有名なクランの一族なんです。 でも、これがいやな一族でしてね~。ま、水戸黄門で言うと悪徳代官に使える商人、みたいな。いや、むしろ織田信長を裏切った明智光秀のほうが近いかしら? ともかく、このCampbellの名を徹底的に悪名高く広めたのが「Glencoe Massacre(グレンコーの大虐殺)」という事件。
敵同士でも暖かく迎える、という風習を持っていたハイランド地方において、ある年の寒い冬、マックラン(Maclan)一族は 訪ねてきたキャンベル兵士達をゲストとして暖かく出迎えました。しかし、キャンベルは、この恩を仇で返す攻撃に出たのです。 首長を殺し、39人の兵士を殺戮しました。残りの兵士や子供、女性達は雪の中、逃げましたが、寒さのために多くが死んでいったといいます。
…ね。 話を聞くと、悪徳代官も真っ青、でしょ?この悲劇があった地、Glencoeは3日目に訪れました。 今はハリーポッターのロケ地として大変有名になったこの地ですが、もともとは谷と山が続くさびしい地。ここで大虐殺が起こったのです。
なんといいますか、このクラン(Clan)たるもの、日本のサムライに似てませんか?イングランドとは全然違う文化でも、スコットランドはなぜか日本に近いような気が しませんか?私は…なんとなく身近に感じました。もともと歴史は大好きだったけど、歴史好きにはヨーロッパはたまらりまへんな~。と改めて思う私なのでした。
キャンベルの里Inverarayの白い家々
どこもかしこも…ジョージホテルが存在するイギリス
点在する湖(Loch)が美しい
さて、その後、悪名高きキャンベル・クランの里を去り、車はさらに西へ。このあと、私は少し寝てしまったのでしょうか? 車窓風景はイマイチ記憶にないのですが、次に到着したところは田舎のど真ん中、というにふさわしい場所でした。 しかし、しかし。この田舎というにふさわしい何にもない場所が、その昔、いや、かなーり昔、スコットランドの王が統治した スコットランドの中心であった、というではありませんか。この場所の名前は「Dunadd」。難しい綴りだな…。よ、読めません…。
このDunadd(デュンアドという読みが一番近い)は6世紀~7世紀に存在したダルリアダ王国の中心地だったそうですが、今はだだっ広い草原が広がっています。 目の前には小高い丘があるのですが、この丘がなんと、砦としての役割を果たしたといいます。そして今は、エディンバラ城に 厳重に飾られているスコットランドの至宝「The Stone of Destiny(スクーン石)」はアイルランドからイオナ島を渡り、 ここにもたらされたという言い伝えがあるそうです。スクーン石は1296年、イングランドによって持ち去られてしまいますが、 1996年に再びスコットランドに返還されています。
6-7世紀といえば、日本でいえば飛鳥時代。もちろん日本でもこの時代のものはあまり残っておらず、スコットランドの当時の中心地が 何もなくても驚きはしないのですが、日本と同様ここにも本当かしら?と思える遺跡が残っています。 それは例えば、丘の頂上近くにある当時儀式に使われた泉や、足跡など。何より1000年以上も昔の古代の王は ここから、この風景を眺めたんだなーっと思うと不思議な感覚に襲われますね。
丘の上から眺める風景
さて、その後は、キルマルティン・グレン (Kilmartin Glen) に向かいました。ここはさらに古い遺跡が残る場所。そう、イギリスのストーンヘンジと同じ、 スタンディングストーンが僅かながら残っている場所なのです。この石がどこから来たのか。何のために使われたのか?こういった 疑問は何一つ解決されていません。たぶん、5千年ほど昔から、儀式で使われたものだろう、ということが有力説 なようですが。たしかに、ナゾ。ナゾ。ナゾ。
スタンディングストーン
このKilmartin Glenには、歩ける範囲内にたくさんの遺跡が残っているようで、なーんにもないところを歩いている観光客を何人も 見かけました。古代のことを考えながら古代人のように歩く…。たしかに魅力的。私たちは時間がないので、少し歩いただけでした が…。

この後、教会墓地で10世紀くらいのケルト・クロスを見たり、さらにその近くのCarnassavie Castle(完全に廃墟に近いお城=トップ写真のお城)を訪れたあと、 港町、Oban(オーバン)に向かいました。西海岸に位置するObanについたのは夕方6時過ぎ。6時過ぎ、とはいっても、 夏の北国はまだまだ日も高く、これから遅くまで散策は楽しめそうな感じです。ツアーバスは、私たちを今夜泊まる宿まで連れて行ってくれるのですが、 いったいどんなところになるのかしら?とちょっぴしワクワク。
最初、ものすごい坂を登っていくので、ここに泊まる人は大変やな~、 と人ごとのように思っていたら、なんと私たちの宿でした(苦笑)。小高い丘の上にたつRoseneath Guest House。 うやー、こんなところ、大変だー、と思ったのもつかの間、最上階の眺めの良いお部屋に通してもらってすっかりご満悦になってしまいました。 部屋はベッドルームと、ソファやTVなどが置かれた小さな部屋の2つに分かれており、両方の部屋から、オバーンの海、 そしてその先に広がる島々が眺められる絶景なのです。さっそくソファに座って、外を眺めてみました。なかなか良いですぞ。
オバーンのB&Bのベッドルーム
とりあえず、散策しながらレストランでも探してみますか、と、丘を降り、街中を歩き始めました。 海沿いに走るメインストリート沿いにホテルやレストランが立ち並び、観光地のムードが漂っています。
海側からオバーンの街並みを眺める
海を眺めれば、島が眺められ、なんとも風光明媚な場所です。なんかどっかに似てるわねえ、と考えてみると、 昔訪れたアイルランドの西海岸の町、ゴルウェー(Galway)だったかもしれません。いや、でもあそこには対岸に島はなかったか? もしかしたら、映画でみたアメリカのNew Englandの海岸だったかもしれません。海と丘、そしてかわいらしい家々がやけに マッチしていて、とてもステキに見えるのです。
オバーンから対岸の島々を眺める
ここには2泊する予定なので、今日はどこかで適当にご飯をすませましょう、と思っていた私たち。歩いていると、白い外壁のかわいらしいバーが 見つかったのでそこでご飯を食べることにしました。
白い壁のバー
中に入ると、混んでいてテーブル待ちだったので、カウンターでスコットランドのビール(銘柄は忘れました。。。) を飲んで、席が空くのを待ちます。ほどなく席は空き、スコットランドらしいメニュー、エール・ビールパイを頼んでみました。 ビールを使ったソース、てことなんだろうと思うけれど、これがなかなか美味。肉も柔らかくなるまで煮込んであって、 ぐいぐいと、あや、違った、パクパクと食べてしまいました。
バーの中はこんな感じ
ここでだんなはスコットランド名物 ハギースを食べてたけど、けっこういけるって言ってたなあ。周りでも結構頼んでいる人がいるし、、、ほんと、美味しいのかな? TRYもせずに、おびえている私なのでした。
夜、B&Bの窓から眺めた夕日