お正月フランス - パリ旅行(2005年1月)

Paris 2005 - DAY 3

パリ3日目は1月2日、そして日曜日。そう、第一週目の日曜日。パリについて詳しい 方ならピンと来るかと思いますが、パリの多くの美術館は第一週目の日曜日は 無料開放というところが多いのです。



私もその情報は事前にきっちり 手に入れ、今日訪れる美術館はその恩恵に与る美術館に しよう♪と心に決めておりました。せっかくですもんね。もちろん…ルーブルやオルセーといった 超有名美術館も無料開放になるんですが、あまりに混むような美術館はダメ(スリも紛れて入ってくるそうですよ!)。 去年熱で意識がもうろうとしている中、オルセーに長々と並んだ記憶があるので、もっとこじんまりしてそうな (←あくまで私の感覚で、なのですが)ところを選んだのでした。

朝起きるとすでに9時。おいおい。昨日は10時過ぎに寝たから10時間以上 寝ちゃったってこと~?!(汗)。旅行に出かけると大抵早く目が覚めてしまうので、 やっぱりこのベッドが心地よいからなのだ、と改めて実感した次第…。

天気予報では今日は一日中雨、となっていたような気がするのですが、 どっこい本日もとってもいいお天気なのでありました。10時頃ホテルを出て、 サン・ラザール駅までぶらぶら。さすがに1月2日の日曜日、という こともあってほとんどのパン屋やカフェは閉まっており、どこで朝食を 食べるのか?という新たな問題が…。結局、仕方ないのでサン・ラザール の駅構内で立ち食いクロワッサン&カフェ&オレンジジュース、になってしまいました…とほほ。

このサン・ラザール駅周辺は印象派の画家たちの題材となり、 よく題材として取り上げられています。ああ、そういえばこの形の屋根、見たことあるわ。。。 あれはモネだったかしらね?結局、最終日に絵の題材とされた道路や橋にも 行ってみることになるのですが、この日は立ち食い朝食の後、駅だけみて サン・ラザールを後にしました。

さて。私が選んだ無料の美術館 - その1はロダン美術館、です。だんなは以前来たことがあるようでしたが、私は当然初めて。 ステキなお庭があるらしいことで楽しみにしていたのでした。


天気予報も狂いに狂ってなにやら快晴だし♪ぽかぽか陽気で、ほんと、東京でのお正月を思わせる気候よ…。 去年とは大違いかもなあ。今日は無料なので、門がだだーんと解放され、並ぶこともなくスムーズに 敷地内に入れました。入ったとたんに「おお、見たことがある」という彫刻がババンと並び、ロダンの作品ってメジャーだったのだな、と改めて思いました。


正月から悩むなよ…。

変な話ですけど、今まで有名な彼の作品とロダンという名前は私の頭の中で明確に線がつながっていなかった気がするのです。 彫刻、というと「箱根彫刻の森」と「霧が峰美しの森」が私にとってなじみが深いのですが、そう言われてみればどちらの彫刻美術館で もロダンの作品はメイン作品だったかもしれない… と頼りない自分の記憶を思い浮かべてみたものの…定かではありません。


正月から悩んでいる方々ばかり…世の中の真理とは…ふむふむ。

初めに庭を散策し、裸でポーズを決めている人たちを眺めました。パリのど真ん中でこんなステキなお庭に出会えるとは。 庭からは隣のアンヴァリッドの金が眩しいほどに輝いており、おお、ナポレオンが輝いておるぞーー、と否応無く目に入ってまいりました。まばゆいばかりの黄金の屋根。 すごいですねえ~。

庭を一通りぐるっと回って、最後にかの有名な「考える人」を見た後、館内に入りました。館は…さすがに 無料ということもあってか、混んでいました。


館内の雰囲気もとても素敵です

それでも並んで入れない、というほどではなく。パンフレットを貰ってROOM1から順にみて回りました。 部屋はある部屋の装飾は豪華、ある部屋は装飾がほとんどなく質素、、、とさまざまでしたが、トコロ狭しと並ぶ彫刻がメイン装飾。 光がさんさんと部屋に降り注ぎ、彫刻に当たって眩しいくらいでした。絵画だとこういう光は天敵なので、 部屋を暗くしてしまうことが多いのですが、彫刻は光りも雨もどんとこい!てなもので(?!)、 美術館でこうやって日が入り込んでいるのも珍しいなあー、この光がまたいい感じだな~…と思いながら館内を歩き回りました。


冬の柔らかい光が差し込んで…

2階には彫刻の制作方法を示す展示がありました。思った以上に複雑なんですねえ。私が想像した彫刻の作り方、とは丸太を削る イメージだったんですけど…どうやらそんな簡単な制作方法ではないらしいです。そう思うと、こうやって当たり前のように人間の形をしている 彫刻たちが実はいかに計算しつくされたものか?ということがなーんとなく分かるような。


館内からステキなお庭を望む

なかなか彫刻もいいもんですわ、とすっかり感化され、鑑賞終了。名残惜しく館を後にし、庭のカフェに向かいました。今日は本当にいいお天気。 なんとなく東京でお正月に神社におまいりにいく感覚を思い出しました。外で昼食を食べている人も多数いて、ヨーロッパの寒い(暗い)冬、 というイメージはどこへやら。なんとなく春!て気分でウキウキしてきます。といいつつ、私たちは屋内で昼食を食べたんですけどね。

ロダン美術館を後にし、次の目的地に向かいます。次の目的地ももちろん、「本日無料施設」という場所です。 選んだ先は日本人にはあまりなじみのない?中世(旧クリュニー)博物館(MUSEE NATIONAL DE MOYEN AGE(Thermes de Cluny))です。

なぜここを選んだか?というと、第一日曜日は無料だった、ということもありますが、ロンリープラネットのガイドブックをはじめとする ガイドブックで是非行ってほしいハイライトに入っていたからです。ハイライトで紹介されていた他の施設はルーブル、エッフェル塔、 ノートルダムなど有名なものばかり。その中に入っているこの、Moyen Ageで、その意外さになんだか惹かれてしまいました。

国立中世美術館(MUSEE de Cluny | musee national du Moyen Age Paris)

この中世博物館はその名の通り、中世のものがたくさん集められています。 厳密にいうと、中世のホンモノのカケラが集められている、ってそんなイメージでしょうか。つまりですねえ。たとえば、 フランスやそれ以外の地域に立つ教会。実際に中世に建てられたものがそのまま現存する教会は少なく、大抵は18世紀に建て 変えられたり、改修されたりしているのですが、その中で残ったホンモノの中世時代の像やスタンドグラスなどをココで保存している、 と…まあ、そんな感じの博物館。だから置いてあるものはどれも、重要で大切なものばかり=訪れたいハイライトになっているのです。


大きなホンモノが集まり、なんだか博物館を訪れたというよりも遺跡を訪れた気分に…

訪れる人はフランス人を含めかなり多数いて(まあ、無料の日、 ということもあるのでしょう)、その割には日本人は見かけませんでした。 日本人にとって中世の 西洋美術はとても難しいものなんでしょうねえ。私なんかは、 中高6年、大学4年間とキリスト教系の学校に通ったのにも係わらず、 頭に思い浮かぶ聖書の一節というのはどれほどあるでしょう? はっきりいってほとんどありませんーー…。しかし、この中世に描かれる芸術は すべてこのキリスト教に関連した、聖書に関連した何か、なので すから理解するのは非常に難しいのです。この博物館を歩きつつ、思ったことは…「ああ、聖書を 読破せずにはこのミュージアムを理解することは不能、って、あれ、そもそも聖書ってどうしたんだっけ?ま、まさか捨ててしまった?!」 という情けない想いばかり…。


このMoyan Age(中世博物館)での一番の見どころは15世紀のタペストリーです。特に6枚つづりの貴婦人と一角獣(Tha Lady and the Unicorn)は小説家 ジョルジュ・サンドによってフランスの人々に知れ渡る有名な作品となりました。これがまた難解な内容のタペストリーで、 「5つの感覚とその結果」を表した内容なんです。うーん。哲学、入ってるわぁ。単純な私には全然分かりませんー(涙)。 せいぜいこのタペストリーにはお猿さんが映ってるな、これには映ってないな、くらいのものです。な、なさけない…。ははは…。(※2013年日本にも タペストリーがやってきて話題になりました。)


この博物館も他の博物館と同様…思った以上に大きく、最初はじっくり眺めつつ進んでいたのですが、途中からそれどころではなくなってしまいました。 これでもか、これでもか!と続く、キリスト教の偉大なる作品を早足で駆け巡ることになり…もう何がなんだかさっぱりな状態になってしまいました。 ほんと、どれも重要な作品のようで、もうちょっとキリスト教への理解を深めてから再訪したいところであります。

とにかく昔はすべての贅沢は教会関係に集められていたんだな、と思うくらいに贅沢な作りでした。黄金で出来た花とか、象牙の箱とか。 司祭の服も今でさえ贅沢であろう黄金・シルクのテキスタイル。あの頃はガラスだって贅沢なものだったのでしょうし。 一般の人にとって、教会そのものが神のようなものだったのかなあ。そんな思いを馳せながら、外にでると入り口は行列でした。無料とはいえ、 こんなに混んでいるとは。もうすぐ閉館時間だというのに!


並んでいる人たちをかき分けて外に出ました。さすがにミュージーアムのはしごは疲れます。これは少し座って、お茶でも…と思い、周りを見渡すと、 ちょうどカフェがあったので、手っ取り早く入ることにしました。座ってのんびり紅茶を飲む。何気ない普通のカフェに見えましたが、 OPENしたのは20世紀の初めらしい…というのがメニュを眺めて理解できました。こうやってどこでも歴史があるのはいかにもヨーロッパらしい、というか。 それにしてもフランスのカフェって 独特。テーブルを動かして座るのがなんとも「パリ」なんですね。

さて。そろそろ夕食のお時間。この日も、プランではきちんと行きたいレストランをUPしていました。が、今日は まだ1月2日。そして日曜日。やっているのかどうか?という疑問を持ちつつ、事前にアップしていた場所へ行ってみました。 そこはリュクサンブール公園の近くにある「インドネシア」というインドネシア料理店。本によるとパリにはインドネシア 料理店は2店しかないのだとか。その真偽はともかく、ライスターフル(ライステーブル)がある、というので バラエティーに飛んだ食べ物が食べられるのだろう、と思ったのです。

行ってみると…な、なんと、これまた7時からのOPEN…。パリのレストランってOPENが遅いんですね…。このときになって ようやく「そうなのか」と理解しました。しかし…。美術館や博物館は5時には閉まるというのに、レストランの OPENが7時というのじゃ、この2時間、皆はどのように時間を潰すのでしょう?やはり一度ホテルに帰って…それとも、 カフェでお茶しながら一息なんでしょうか…。レストランに出かける前にカフェで一服、などという 習慣がない私たちにとっては困っちゃう時間帯です。


だんなは元気なので、この間あれこれ見に行きたいようでしたが、私は美術鑑賞の後は、腰痛になって歩き回りたい気分ではないのです。 申し訳ないんだけど…。それでも、レストランが開くわけでなし。こんなことなら、さっきのカフェでもっと粘ればよかった…と 後悔しつつ、とぼとぼリュクサンブール公園で展示していた中国の写真を見たり、その辺りをうろうろしたり…なんとか 7時10分前まで頑張りました。


ようやくレストランもOPENし、いざ一番に乗り込む!ふおおお。メニューを見てオドロイタことに、ライス・テーブルのメニュー はRijst Tafelと書かれているではありませんか!!そう、なんとオランダ語なんですよ、このパリで!! さすがインドネシアには強い!オランダ!と私たちは何故だか うれしくなってしまいました…。

ここは、本当にパリのオアシスって感じでした。まず、料理が安い!デザートまで含まれたライス・ターフルで一人17ユーロくらいから ありました。しかも、二人以上などという設定も無く、好きに選んでよい!てのも魅力的。それより何より、ここのステキなところは、 サービスしてくださるおじさんの笑顔ってことかしら。来店者の感想に「昔僕がアジアで見た古きよき笑顔がここにある」 (インドネシアからオランダに移住した方の感想)というのがありましたが、まさにその通り。おじさんの笑顔を見ていると、 なんだか嫌なことも全部吹っ飛ぶー、という感じでしたよ。場所はリュクサンブール公園の近く、12, rue de Vaugirard。

食べ終わったのは9時前だけれど、なんだか本格的に風邪を引きそうな予感だったので、パブロンをささっと飲んで、地下鉄まで歩き、 ホテルに直行しました。ホテルで、熱いシャワーを長々と足にあて、早々にベッドにもぐりこむと、暑くて暑くてたまらん~、てな感じに 汗が噴出してきました。これが良かったのでしょうかね。次の日の朝、またまた9時頃に目が覚めると、なんだかちょっとすっきりしたような。。。 悪くなっていたらどうしよう…とそればかり、心配だったので、ホッとしました。