お正月フランス - パリ旅行(2005年1月)

Paris 2005 - DAY 2

今日はフランスで迎える元旦です。昨日とは打って変わって静かなパリ。 いろんな施設が閉まってしまう本日いける場所は限られており、前もって調べていた 近所の美術館などを回りました。



朝起きるとすでに10時過ぎでした。夜中の2時過ぎに寝たとはいえ…8時間の睡眠。ま、お正月だしね。あ・はっぴー・にゅーいやー。 元旦は清々しい朝です、といいたいところだけれど、どうも喉の調子が。なんとなく風邪をひくのでは…?とイヤーな予感が…。 去年のパリ旅行と同じ道をたどっているような、そんな気分。しかし、去年と違うところは「早めのパブロン」を数袋持参している、というところ。 決して同じ道は辿るまい…運命に逆らうささやかな抵抗で持ってきた数袋…というと大げさでしょうか。

シャワーを浴び、オランダから持ってきたりんごをかじり、 パブロンを飲んでおくことにしました。なんてったって早めの…ですし。 さて、元旦はさすがの観光都市パリでも、閉まっている ところが多いのです。大抵のミュージーアムは閉まっている、といって いいのかもしれません。

フランス観光局のサイトで調べたところ、どうやらジャックマール=アンドレ美術館が年中無休でオープンしているという情報が…。年中無休って響き、ステキ。 ちょうど泊まっているホテルからは徒歩でいけるような距離だったので迷わずここに行くことにしました。 併設されたカフェは有名なタペストリーがかかっており、パリ有数のゴージャスカフェだ、という情報も手に入れたので、そこでブランチを取ることに決定☆

ジャックマール・アンドレ美術館(MUSEE JACQUEMART-ANDRE)

ホテルを出るとやはりお正月。朝11時近いのに歩いている人がほとんどいません。 静かな、さわかな朝です。通り過ぎるフランス人家族・カップルが花束やら鉢を持っていて、何故に花?と 疑問に思いながら歩いていくと、花屋だけはどこもOPENしていることに気がつきました。

どうやらフランスでは ニューイヤーに花を贈る(もしくは飾る)というのが習慣らしいのです。ステキな習慣ですね! せっかくだから、、、と美術館一直線ルートは取らず、図書館で借りた 本:パリの散歩ルートを途中たどりながら美術館までいくことにしました。


モンソー公園

まず 最初に向かったのがParc de Monceau(モンソー公園)。小さな公園ですが、 その散歩ルートの本によると彫刻があったりステキな門構えだったり するのだとか。中に入ると、あらホント。そこは家族連れやジョギングする人 が集うほっとする空間でした。置かれているオブジェが なんともオシャレで。公園の周りの家々も見るからに高級アパルトマンらしい雰囲気。 枯れ木が立ち並ぶ季節とはいえ、私たちはホーッとするその空間が直ちに好きになってしまったのでした。 これが緑の季節だったらどんなにステキなことでしょう。


公園を通り過ぎる親子

子供たちがクリスマスに貰ったらしきラジコンで遊んでいました。立ち話で 盛り上がっているのは父親たち。あれ?ここでは母親たちの井戸端会議 よりも父親たちが盛り上がってるのね…。公園に集うパパもいいなあ… ほほえましい風景を後にし、くねくねと散歩コースをたどっていきました。


公園入り口の門

この辺りにある建物は外壁の彫刻ひとつとっても素晴らしく、ああ、パリの建物って全部がアートなのねえ、 と感嘆しながら突き進んでいきました。でも…きっと壊れたときなどの改修工事は大変なのでしょうねえ…。 簡単に塗りなおしました、てわけにはいかないのでしょうし、そう考えると…手が込んでいるというのは いい面もあれば悪い面もあるんでしょうねえ…。

くねっと曲がると、ジャックマール・アンドレ美術館のある大通りに 出ました。ここにきても人通りもほとんどなく、ほんとにやってるのかしら?と心配になりましたが…ふと覗くと 門が開いておりました。どうやら年中無休の 予告どおりちゃんとOPENしているらしいです。

美術館にたどり着くと、ちょうど12時前くらいでした。美術館もいいけど まずは座って何か食べたいねえー、ということでまず噂の(?)カフェへ レッツゴー。ここは美術館入り口手前に位置し、美術館に入らない 人でも楽しめるカフェなのです。とはいえ、たぶんほとんどの人が美術館も 訪れるのでしょうけどねえ。

美術館の一室に作られたカフェは豪華なサロン… といったほうがふさわしいのかもしれません。四方に飾られたタペストリー と天井の絵画がとっても素敵でした。天井は、二階のバルコニーから中庭に座る私たち を見下ろしている…という絵画で。

だんなはここでキッシュのランチを頼んだのですが、美味しい、美味しいと 平らげ、ケーキまで食べてましたわー。「こんなステキなサロンでこんなに 美味しいランチとは…感謝感激!」とは言わなかったけど、私の立てた計画 にとっても喜んでいたようです。

どうやら日本人の個人観光客も皆さん同様の計画を練っていたようで…ふと 周りを見まわすと日本人ばかり。すごい空間だなあ、と思いました。 「あ、あの人たち、日本人。あ、この人たちもー。」とこんな感じに 分かってしまうのは何故なんでしょう…?まあ、ヴィトンのバックをたすき掛けに かけている女性が日本人だと分かるのは当たり前としても…(苦笑)。


ジャックマール=アンドレの入り口。今見ると、ちょっとロンドンぽさがありますね…。

さて、お腹も膨らんだところで美術鑑賞!チケットを買っていなかったので またチケット販売ブースに戻りチケットを購入しました。ひとり9.5ユーロは ちょっと高いような気もしたけれど、さほど大きくないこの美術館で日本語のAudioガイドが 借りられるっていうのはさすがパリですな。

Audioセットを耳にアテ、美術館の中に入りました。無料のAudioセットなので 観賞客全員がAudioセットを耳にあてて静かに歩いている、というのが面白いです。


美術館の内部 - クリスマスツリーがステキ

さて。この美術館はいったい何なのか、知らない方のためにお伝え いたしますと…。ジャックマール&アンドレさんの私邸、ということ なんですね。。。アンドレさんは19世紀に莫大な遺産を引き継いだ 大富豪。一方ジャックマールさんは画家…こんな二人が出会い、 結婚して住んだのがこのお家ってワケ。

画家と富豪…とは。これはいわゆる誰もがびっくりの 玉の輿ということ?とAudioを耳にあてつつ、 私は自分が大富豪男性と結婚し、急にこの家に住むことになることを 想像してみました。…どんなに乏しい想像力でもそれがどんなことか、この家 を実際に訪れれば分かるってものですよ。しかも時代は19世紀。人々の 彼女に対するまなざしは果たして冷たいものだったのでしょうか、はたまた温かいもの だったのでしょうか。

いずれにしてもいじわるなお姉さまやおばさまたちがヒソヒソ しそうよね。思いっきり身分が違いますし。ちなみに、 私は、愛があれば身分の違いなんて…という身分差漫画の大ファンなので、 このシチュエーションを聞いただけでもう萌え~~…なのであります(笑)。


さて、彼らの好きな美術品は日本人と好みが似ているんでしょうかね…? 愛らしい少女の絵、やわらかな微笑み…多くの絵画は温かみのある 絵画で、とても好印象でした。彼らはフランスならではの18世紀の絵画が好みだった そうです。ルーブルでも重要とされるフラゴナールの絵もありました。その他、 オランダ黄金期ならばレンブラントやフランス・ハルス。イタリアならば ボッティチェルリなど。

当時、彼らが絵画を購入すると、それが絵画 関係者の間で話題となり、その後の人気度の傾向が練られるほど、 彼らの動向が重要だった、というのも面白いです。つまりトレンドの最先端を行く人たちだったって ことですよね。部屋の装飾はもちろん 素晴らしく、豪華絢爛!当時の様子を思い浮かべるのに十分でした。 訪問時はナポレオン展も別途開催していて、ナポレオン時代のもの、 ナポレオンに関するものがたくさん置いてありました。そういえば、 ルーブルでもナポレオン特集してたし。。。今年は何周年記念か なんかなんでしょう。。。(←後から調べると…ナポレオン皇帝就任200年でした)。

今日の天気予報は、午後から雨になる、ということでしたが、どっこいいつまでたっても良いお天気が続きました。 こういうハズレなら大歓迎だなあ。逆は絶対に嫌だけれど…。というわけで、 予定通り次の訪問先に向かいました。次の訪問先は…モンパルナスタワー(トゥールモンパルナス)。

フランス観光局のサイトには、モンパルナスタワー(トゥールモンパルナス)は正月閉館と書いてあったのですが、 オフィシャルサイトをチェックすると展望台は年中無休、と書いてあったので、それを信じて行ってみることにしたのです。

タワー・モンパルナス

私はビルやタワーにはあんまり興味がないのですが、だんなは相当好きなようで、 「Skyscraper(摩天楼)」という縦長の写真集まで持っています。 というわけで、たまには だんなの意向も大事かな、と思いまして。( ̄∇ ̄;)ハッハッハ。

地下鉄に乗ってモンパルナスまで一直線。あっという間にたどり着きました。 今年のパリは昨年と比べてもかなり暖かいのですが、外にでると戸外スケートリンク場が設置され、 皆、スケートを楽しんでおります。ビルはなんていったらいいのか…。 それほど洗練されたとは言えない普通の高いビル…。入場料は大人8.2ユーロ也(2018年現在は18ユーロ!!)。 ちぇ、結構高いなあ。パリは東京並み、ということなのかしら? まあ、それでも56階の屋内と59階の屋外の両方から風景を楽しめる、 てところは面白いなー、と思ったけれども。

それにしても59階の屋外を解放してるって、どういうことなんでしょう。 塀を乗り越えて飛び降りようとする人はいないのかしら?…素朴な疑問を抱えつつ、頑張って居座って夕景と夜景を 楽しんじゃいましょう!とかなりセコイことを考えながらタワー内にはいったのでした。

チケットを購入し、エレベーターに乗車。これまた東京の元職場のエレベーターのほうが ずっと綺麗だったぞ、と思えるくら洗練されていないどうってことないエレベータでした。 しかもガタガタ揺れるし。こんあんで大丈夫なんでしょうか~…。と不安を抱えていると、無事56階に到着し、 チケット(レシート)を渡して中に入りました。どれどれ、どんな景色やね? 中は意外と混んでいて、家族もカップルも観光客も皆窓にへばりついて 風景を眺めている。つられて私も窓にへばりついてしまったのでした…。


第一印象は…「ワー、パリって白い!」というもの。街の建物の壁が 白基調なので、高いタワーから眺めると遠くまで白がずーっと広がって いる、そんな感じなの。有名な建物は遠くからでも一目で分かり、 あ、あれは凱旋門ね。ああ、あれはサクレ・クール寺院、あれは リュクサンブール公園で…。もちろんエッフェル塔は目の前に どどーんとそびえていて見落としようがありません。遠くにはまだ足を伸ばしたことのない ラ・デファンスのハイカラ建物群も見えていて…一気にパリを 全部見た気分になりました…といったら言い過ぎかしらね。

ぐるっと各方面を見て、59階に上がってみることにしました。いかにして 転落防止がなされているのか?それが一番の興味です(?!)。 上がってみて…ああ、そうだね。その手があったか!と納得。

そうなのよ。階段を上がって外に出ると高い頑丈な格子で囲われていて これじゃあ飛び上がっても塀を超えることは困難です。 しかし、これじゃ格子が邪魔で景色を楽しめないじゃない、と思いきや、大きな 箱の上に小さな箱が乗るような形といったら分かりますか? 格子の階からさらにもう一階上に登ることが可能なのでした。 飛び降りたところで1階下に落ちるだけ、、、という仕組みだったわけです。 小さな箱の頂上は、普通のフェンスで皆、身を乗り出して写真を撮ったり、風景を眺めたり。。。 そうだよねえ。考えれば、その手があるわけでして。。。

さすが59階の外だけあって、さ、寒い。 夕刻から夜に変わりつつある時間帯だったので、しがみつくよう にして、写真を撮りました!でも。寒いから手がぶれたのか、残念ながらどれも 結果はイマイチなのでした…(涙)。

かなり粘ったモンパルナスタワー。それでも、さすがに寒くなった ので、59階を後にし、56階に戻りました。いろんな古いパリの写真も 飾られていたので、それを見た後、エレベーターで下へ。

今日の夕食のプランもきちんと立ててました。モンパルナスタワー から歩いてすぐのところにあるタイ料理店Krua Tha。お正月なので 開いているかどうか?という疑問はあったものの…とりあえず行ってみるべし。 お店はたしかにありました。お正月でもOPENするようです!!と、ところが~。 OPEN時間が8時…!!今、時計を見ると6時をちょっと 回ったところで。さすがにレストランのために2時間も待つことはできません。 しつこくノックして時間も聞いたのですが、間違えではないとのこと(ですよね…)。 仕方ないので、諦めることにしました。

立ち止まってロンリープラネットガイドをチェックすると…この辺りにも何件かのお勧めレストランが記載してあり、 そこで見つけたのが、「La Coupole(ラ・クーポール)」というお店。1927年にOPENしたこのレストランは450席というパリ1の席数を持つブラッセリー で、その昔、著名だった人たちが集ったところなのだとか。 地図を確認し、開いているかドキドキしながらお店に向かうと… やってます!メニューを確認し(だんなはとっても慎重なのよね)、 エイヤ!と入ってみました。まだ時間も早かったせいか、すぐ席に座れ ました。通された席は、ちょうど真ん中の大きなカウンターの目の前。


忙しそうなウェイターたち

このカウンターはウェイターとウェイトレスが料理、注文など すべてを取り仕切るカウンターとなっているらしく、ひっきりなしに 皿が何枚も乗った大きなお盆を肩に担ぎ上げたウェイターがやってきたり、 そこでサラダのドレッシングを和えて、お皿に盛り付けたり、と 皆、忙しそうに働いているのでした。

とにかく450席をうまくさばく、 というのはどういうことなのか?と興味津々で彼らの動きを眺めて しまった私。そのシステムは結局さっぱり分からなかったのですが(汗)彼らが この伝統あるレストランで誇りを持って働いている(らしい)ところ はとても好感持てました!

オイスターやら海老を豪華に盛り付けたフィッシュセットをどどーんと 食べている人が結構いて惹かれるものがありましたが、結局私が食べたのは ホタテとリゾットのメイン。だんなは1927年以来のヒットメニューだと いうラム肉のカレーソース(見た目はカレーライス)。

ホタテも新鮮で 美味しかったけど、どどーんとカレーソースセットが盛り付けられた だんなのメニューは美味しそうでした。注文した後に、「これが 名物料理らしい」なんて言うんだもの。最初から言ってくれれば…。 (フランス語が読めない私が悪いのだが…。くうん。)

最後はソルベのデザートとコーヒーまで飲んで、だいたい75ユーロくらい。 前菜も食べると100ユーロくらいになっちゃうかな(二人で)。ちょっと豪華な お値段だけれど、この雰囲気をゆったりと味わえたのだから大満足です。

あ、ゆったり、って書いたけど、私たちが食べ始めた頃には、 入り口は大行列となっていて、たくさんの人たちが入店を待っていました。 早めにいってゆったり…てのがいいのかも。

ラ・ブラッセリーラ・クーポール

ホテルに戻ると9時過ぎ。まさかまだ寝ないだろう、いくら風邪気味 だとしてもね、と思っていたら、だんなが先にぐーっと寝てしまいました。 おいおい。まだ9時半やで~。そういう私も10時半頃には寝てしまった のだけれど…。そんなこんなのお正月@パリ。